身体・生活
何歳から大人?何歳から高齢者?
成年は18歳、お酒は20歳から。 この2つは矛盾しているようで、どちらも現在の法律どおりです。 高齢者にいたっては、65歳・70歳・75歳が制度ごとに使い分けられています。
- 種類法律上の境界
- 出典デジタル庁
- 最終確認2026年8月
答え
民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めています。 選挙権も18歳からです。
一方、飲酒と喫煙は20歳のままです。 2022年の民法改正のとき、これらの法律は 「未成年者」から「二十歳未満ノ者」へ題名ごと書き換えられ、 成年年齢から切り離されました。
高齢者側には、一律の定義がありません。 介護保険と老人福祉法は65歳、運転免許の高齢者講習は70歳、 後期高齢者医療と認知機能検査は75歳を線にしています。
定義が複数あります 目的によって基準が異なります。
境界の位置 一本の軸で見る
境界の位置 一本の軸で見る
ほかの「境界」 法律上の定義と一般的な目安は別のものです
-
法律上の境界
働ける年齢(労働基準法)
15歳 から
労働基準法 第56条
使用者は、児童が満15歳に達した日以後の 最初の3月31日が終了するまで、その児童を使用してはなりません。
誕生日ではなく年度末が基準です。 中学校の卒業と揃えるための書き方になっています。
-
法律上の境界
成年(民法)
18歳 から
民法 第4条
「年齢十八歳をもって、成年とする」。条文はこれだけです。
2022年4月1日から、それまでの20歳が18歳に引き下げられました。 親の同意なく契約ができるようになる一方、 未成年者取消権も18歳で無くなります。
-
法律上の境界
選挙権(公職選挙法)
18歳 から
公職選挙法 第9条
日本国民で年齢満18年以上の者は、 衆議院議員および参議院議員の選挙権を有します。
地方公共団体の議員・長の選挙権には、 さらに引き続き3か月以上その区域内に住所を有することが必要です。
-
法律上の境界
特定少年(少年法)
18歳 から
少年法 第62条
少年法は18歳以上の少年を「特定少年」と呼び、 検察官送致について特例を定めています。
18歳・19歳は少年のままですが、扱いは変わります。 成年になっても少年法の対象から外れるわけではありません。
-
法律上の境界
飲酒(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律)
20歳 から
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 第1条
「二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス」。 大正11年の法律で、条文は今もカタカナのままです。
法律の題名そのものが「未成年者」から書き換えられました。 2018年の民法改正法によって改められ、2022年4月1日に施行されています。
-
法律上の境界
喫煙(二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律)
20歳 から
二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 第1条
「二十歳未満ノ者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス」。 明治33年の法律です。飲酒の法律と同じく、 題名が「未成年者」から「二十歳未満ノ者」へ書き換えられました。
-
法律上の境界
少年(少年法)
20歳 から
少年法 第2条
「この法律において『少年』とは、二十歳に満たない者をいう」。
成年年齢が18歳に下がったあとも、 少年法の「少年」は20歳未満のままです。
-
法律上の境界
被選挙権(衆議院・地方議員・市町村長)
25歳 から
公職選挙法 第10条
衆議院議員、都道府県・市町村の議会の議員、市町村長は 年齢満25年以上で被選挙権を得ます。
選ぶ権利は18歳、選ばれる権利は25歳。 同じ法律の中に7年の差があります。
-
法律上の境界
被選挙権(参議院・都道府県知事)
30歳 から
公職選挙法 第10条
参議院議員と都道府県知事は年齢満30年以上です。
同じ被選挙権でも25歳と30歳に分かれています。
-
法律上の境界
介護保険の第2号被保険者
40歳 から
介護保険法 第9条第2号
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者は 介護保険の第2号被保険者になります。
高齢者の制度への入口は、実は40歳にあります。 保険料の負担が始まるのはここからです。
-
法律上の境界
介護保険の第1号被保険者
65歳 から
介護保険法 第9条第1号
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者。 原因を問わず介護サービスを受けられるようになります。
-
法律上の境界
老人福祉法の福祉の措置
65歳 から
老人福祉法 第5条の4
65歳以上の者に対する福祉の措置を、市町村が行うものとされています。
ただし条文には 「65歳未満の者であって特に必要があると認められるものを含む」 という括弧書きが付いています。 年齢は入口であって、絶対の線ではありません。
-
法律上の境界
前期高齢者
65歳 から
高齢者の医療の確保に関する法律 第32条
65歳に達する日の属する月の翌月以後で、 75歳に達する日の属する月以前である加入者。
保険者間の費用負担を調整するための区分であり、 本人が受ける給付の内容が変わるわけではありません。
-
法律上の境界
高齢者講習(道路交通法)
70歳 から
道路交通法 第101条の4第1項
免許証の更新を受けようとする者で、 更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者は、 公安委員会が行う講習を受けていなければなりません。
条文の見出しがそのまま「七十歳以上の者の特例」です。
-
法律上の境界
後期高齢者医療の被保険者
75歳 から
高齢者の医療の確保に関する法律 第50条第1号
後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者。
65歳以上75歳未満でも、一定の障害の状態にある旨の認定を受けた者は 被保険者になります。年齢だけで決まるわけではありません。
-
法律上の境界
認知機能検査(道路交通法)
75歳 から
道路交通法 第101条の4第2項
更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者は、 認知機能検査等を受けていなければなりません。
70歳の講習に加えて、75歳でもう一段の手続きが増えます。
-
法律上の境界
「高齢者」そのものの定義
数値の基準なし
「高齢者」を一律に定義した法律はありません。
高齢者の医療の確保に関する法律は前期・後期の区分を置いていますが、 それは医療費の負担を調整するための区分です。 老人福祉法は65歳、道路交通法は70歳と75歳を使っており、 それぞれ別の目的のために別の線を引いています。
出典 定義の根拠
-
出典: デジタル庁「e-Gov 法令検索」
もう少しくわしく この数字の背景と、よくある誤解
成年は18歳、お酒は20歳。矛盾していません
2022年4月1日、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。 このとき、飲酒と喫煙の年齢は20歳のまま据え置かれています。
やり方が独特でした。法律の題名そのものを書き換えたのです。
未成年者飲酒禁止法 → 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律
未成年者喫煙禁止法 → 二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律
「未成年者」という言葉を使っていると、成年年齢が動いた瞬間に 飲酒できる年齢まで一緒に動いてしまいます。 そこで、成年年齢に連動しない書き方へ変えました。
条文はいまもカタカナのままです。 明治33年と大正11年の法律の題名だけが、2022年に書き換えられました。
18歳でできること、できないこと
成年になると親の同意なく契約ができます。 同時に、未成年者取消権が無くなります。 一度結んだ契約を、若さを理由に取り消すことはできなくなります。
権利が増えるのと同じ日に、守りが1つ外れる、ということです。
選ぶのは18歳、選ばれるのは25歳
公職選挙法は、選挙権を18歳、被選挙権を25歳(参議院と知事は30歳)と 定めています。同じ法律の中に、7年から12年の差があります。
「高齢者」に定義はありません
高齢者側の線は、成人側よりさらに揃っていません。
| 制度 | 線 |
|---|---|
| 介護保険の第2号被保険者 | 40歳 |
| 介護保険の第1号被保険者・老人福祉法・前期高齢者 | 65歳 |
| 運転免許の高齢者講習 | 70歳 |
| 後期高齢者医療・認知機能検査 | 75歳 |
これらは競合しているのではなく、目的が違います。
介護が必要になる確率、運転の危険、医療費のかかり方。 それぞれ違う現象を見ているので、線が揃う理由がありません。
「何歳から高齢者か」に一つの答えが無いのは、 決め忘れているからではなく、決める必要が無いからです。
年齢は入口であって、絶対の線ではない
条文をよく読むと、年齢だけで切っていない規定が多いことに気づきます。
- 老人福祉法 … 「65歳未満の者であつて特に必要があると認められるものを含む」
- 後期高齢者医療 … 65歳以上75歳未満でも、一定の障害の認定を受ければ被保険者
- 労働基準法 … 満15歳の年度末が原則だが、許可を受ければ満13歳以上も可
年齢は判断を機械的にするための道具であって、 その人の状態そのものではありません。 法律の側も、そのことを前提に例外を用意しています。
読むときの注意
このページの数値は、定義そのものとして公表されているものです。 統計から算出した推計値ではありません。
定義は改定されることがあります。最終確認日をご確認のうえ、 重要な判断には出典の一次情報をあわせてご覧ください。