仕事・企業
大企業は何人から?
「大企業は何人から」という問いには、実は前提に誤りがあります。 日本の法律に「大企業」を定義した条文はありません。 あるのは「中小企業」の定義で、それ以外が大企業と呼ばれています。
- 種類法律上の境界
- 出典デジタル庁
- 最終確認2026年8月
答え
「大企業」を定義した法律はありません。 中小企業基本法が「中小企業者」を定めており、それに当てはまらない企業が 結果として大企業と呼ばれています。
製造業なら資本金3億円超かつ従業員300人超で中小企業から外れます。 卸売業は1億円超かつ100人超、サービス業は5,000万円超かつ100人超、 小売業は5,000万円超かつ50人超です。
なお税制では別の線が使われ、法人税法は資本金1億円以下を軽減税率の対象とし、 同法の「大法人」は資本金5億円以上と定めています。
定義が複数あります 目的によって基準が異なります。
中小企業基本法による中小企業者の範囲 中小企業基本法 第2条第1項
資本金と従業員数のどちらか一方が基準以下なら中小企業です。 両方を超えて初めて、中小企業ではなくなります。
| 区分 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
製造業の場合の判定 4つのうち1つだけが外れます
4つのうち、中小企業から外れるのは1つだけです。
| 300人以下 | 300人超 | |
|---|---|---|
| 3億円超 | 中小企業 | 中小企業ではない |
| 3億円以下 | 中小企業 | 中小企業 |
「中小企業ではない」領域が、一般に大企業と呼ばれるものにあたります。 ただし、そう定めた条文があるわけではありません。
ほかの「境界」 法律上の定義と一般的な目安は別のものです
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法律上の境界
小規模企業者
20人 から
中小企業基本法 第2条第5項
従業員20人以下(商業・サービス業を主たる事業とする者は5人以下)。 中小企業の中でも、さらに小さい区分として定義されています。
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法律上の境界
法人税の軽減税率の対象
1億円 から
法人税法 第66条第2項
資本金の額または出資金の額が1億円以下の普通法人は、 年800万円以下の所得について税率が19%になります (それ以外は23.2%)。
実務で「資本金1億円が中小企業の線」と言われるのはこの規定によるもので、 中小企業基本法の区分とは別のものです。
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法律上の境界
法人税法の「大法人」
5億円 から
法人税法 第66条第5項第2号イ
「大法人」という語は法令に実在します。 法人税法は資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人を 大法人と定めています。
ただしこれは、大法人に完全支配されている子会社から 軽減税率の適用を外すための規定であり、 企業の規模を一般的に区分するための定義ではありません。
出典 定義の根拠
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出典: デジタル庁「e-Gov 法令検索」
もう少しくわしく この数字の背景と、よくある誤解
「いずれか」なのか「両方」なのか
もっとも誤解が多い点です。
中小企業基本法は、資本金または従業員数の どちらかが基準以下なら中小企業としています。 したがって、大企業と呼ばれるには両方を超える必要があります。
具体的に見ると、こうなります。
- 製造業で従業員が1,000人いても、資本金が3億円以下なら中小企業
- 逆に資本金が10億円あっても、従業員が300人以下なら中小企業
「従業員◯人以上が大企業」という説明は、この点で不正確です。
目的によって基準が違う
同じ「大きい会社」でも、何のための区分かによって線が変わります。
- 中小企業基本法 … 支援策の対象を決めるための区分(業種ごとの資本金と従業員数)
- 法人税法 第66条第2項 … 税率を決めるための区分(資本金1億円)
- 法人税法 第66条第5項の「大法人」 … 完全支配関係を判定するための区分(資本金5億円)
支援を受けられるかどうか、税率がどうなるか、グループ会社の扱いがどうなるか。 この3つはそれぞれ別の話です。 一つの数字で「大企業かどうか」が決まるわけではありません。
「大手企業」はさらに定義がありません
「大企業」に定義が無いことは上のとおりですが、 「大手企業」にはそれ以上に基準がありません。
大手は業界内での知名度や地位を指す言葉として使われており、 法律にも統計にも定義はありません。 同じ企業が、ある文脈では大手と呼ばれ、別の文脈では呼ばれないことがあります。
資本金を減らす企業がある理由
ニュースで「資本金を1億円に減資した」という話を見かけることがあります。
法人税法の軽減税率をはじめ、税制上の扱いが資本金1億円を境に変わるためです。 会社の規模そのものが小さくなったわけではありません。
境界線をまたぐと扱いが変わるので、境界線に合わせて会社が動く。 数字が先にあって現実があとから合わせにいく、という逆転が起きています。
読むときの注意
このページの数値は、定義そのものとして公表されているものです。 統計から算出した推計値ではありません。
定義は改定されることがあります。最終確認日をご確認のうえ、 重要な判断には出典の一次情報をあわせてご覧ください。